踊りつづけるしかない

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2009年 10月 21日

オリオン座流星群

ヒステリックな金切り声、物わかりの悪い人たち、どうにも立ち行かないいくつかのこと。自業自得と首をふるしかないこと。その他、俗っぽく即物的な、落とし穴のように日常のあちこちに点在する物事。そんなものからもちろん逃れられるはずもなく、目を背けてもそこにあることは変わらず、むしろどんどん迫ってくるばかり。ああ頭が破裂しそうだ。

そんなとき、ふっと無になることがある。これが防衛本能なのかよくわからないけれども。
スイッチが突然切り替わって「ははは」と声に出して言ってみたり。
極限状態は時に喜劇を秘めている。

ぱりぱりと音がしそうなぐらい寒い夜にそれしか見当たらなかった冷蔵庫の缶ビールとピーナッツの袋を持って外に出た。きょうはオリオン座流星群が見られると職場で誰かがつけたニュースで言っていた。

空を見上げながら、座りよい場所を探す。転ばないように注意しなければならない。
マンションの裏手の宅地にはまだ1軒しか建っていない。雑草が伸びている中に区画を仕切っているブロックをみつけた。
東の空、私の部屋の窓から日が沈むのが見えるから、おおよそコンビニと反対方向だろうと見当をつける。そこにオリオン座があった。
夜が更け、飲み屋などが店を閉め始めると星はいっそうちかちかと瞬く。ひときわ明るい星をなぞると、確かにそこには手を振り上げた狩人の姿が浮かび上がる。
なんと大きなオリオン。そしてここに座り込んでいる私のなんと小さいこと。その私が考える物事などさらにさらにちっぽけ。

流れ星は見たように思う。
そもそもはそれが目的だったけれど途中であきらめた。
それはすっと目の端で流れてしまってはっとしたときにはもう遅い。
なんだか象徴的で笑ってしまう。

気にすることなどなにもない。

オリオン座は少しずつではあるが確実に南へと移動した。
いずれは消えてしまうのだけれど、今はそれでいい。

首が痛くなっても、手が凍えても、私はジャケットにくるまって、空を見上げることをやめることができない。
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# by in_y | 2009-10-21 18:23
2009年 10月 21日

10月の花火

帰り道、中途半場に時間があったので特に用事もなかったのだけど、郊外にできたショッピングモールに行ってみようとふと思った。

心は全然すっきりしていない。
疲れとか不安とかこわさとかそんないろいろがぐちゃぐちゃとあった。
けれど、そのぐちゃぐちゃはぐちゃぐちゃすぎて、頭そのものがそれに手をつけることを拒否していた。
とにかく目的地にたどりつくこと、そこに向かって車を走らせること、ただそれだけしか考えていなかった。
身体とハンドルとシフトレバーとアクセルとブレーキとクラッチのペダルがあり、こっちの方角という感覚が手足を動かし、頭とか心は切り離されているような、そんな感じ。

遠く花火が続けざまにあがるのが見えた。

その季節外れの花火は私の頭のぐちゃぐちゃにそっと息を吹きかけた。
身体の中にすとんと心が戻った。

生きてしまう理由がほんの少しわかった気がした。
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# by in_y | 2009-10-21 17:51
2009年 09月 19日

くだものを作る人としばらく話をしていない
季節が急にすすんだように感じる

午前2時40分、道路の真ん中を歩く
ささやかな衝動とちっぽけな欲求と

世界は寝静まっている

前を横切るものがある
一匹の猫がふと足をとめ、こちらに頭をもたげる
その目は確実に私をみている
時間がとても長く感じられる

私はその時、世界と対峙していた
なぜか少しだけ心細くなった

猫は道路を渡りきり、アパートの入居者募集の看板をしばらく見上げたのち、どこかに行ってしまった

私はまた少し心細くなってしまった、しかし同時に身体が軽くなった感じもあった

世界は相変わらず寝静まっていた
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# by in_y | 2009-09-19 21:49
2009年 09月 19日

ひとりずまい

ふわふわするのでたいおんけいをかいました
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# by in_y | 2009-09-19 21:30
2009年 08月 06日

音もなくシステマティックに

一日でいちばん影が短くなる時間帯、
都会の歩道にはどこにも逃げ場がなく、
太陽とアスファルトと蝉の声が肌をじりじりと焼いた

ギラッと反射するものがあった
死んだカナブンの腹だった
高層ビルのわきの木や植え込みに集まってきたのか
地面には異様にたくさんのカナブンの死骸が転がっていて
それが歩をすすめるごとにそこここでギラッギラッと光った
蟻も集まっていた

平日、真夏、真っ昼間、
暑さからとっとと逃れたかったり、早いとこお昼を済ませてしまおうという人々が
足早に行き交う足元で、音もなくシステマティックに生命のやりとりは進行していた
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# by in_y | 2009-08-06 02:38